03.good vibrations
periwinkles
ペリウィンクルズ
多くの人たちとgood musicを分かち合いたい!そんな思いからはじまったgood vibrations。今回はフルーツフレーバーをまとったローハイ パンク デュオperiwinklesの登場です。
新潟を拠点に活動するperiwinklesはVo./Gt.のrihoとDr.のikumiの二人によって結成された2ピース・ガールズバンド。私がperiwinklesを知ったのは1年半前の2120年12月。ファーストアルバム「21」が発売されたばかりの頃だ。Instagramのタイムラインに流れてきたBar Hallelujahの投稿でperiwinklesのライブ映像(※1)を見たことがきっかけだった。初めてperiwinklesの演奏を見て、素直にカッコイイと思った。かわいいバンド名に反して演奏はクール。どこか懐かしさも感じる。periwinklesについては90年代USインディーズ・フレーバー漂うローファイなサウンドと紹介されたりしているけれど、音楽に詳しくない私は、ローファイサウンドはかろうじてわかるものの90年代USインディーズ・フレーバーがどんな感じなのかよくわからない。プライマル・スクリームはイギリスだし、ソニック・ユースやベン・フォールズ・ファイブはアメリカだけどインディーズ?そんな程度の私が聴いてわかることは、periwinklesの曲はカッコイイ!そして好き!ただそれだけだ。昨夏リリースされたシングル“Feeling Down”と“Lady Madonna”も然り。そして心に残る。なぜ心に残るのだろう。それは、強いサウンドに反して、歌詞で描かれている人物の揺れる感情に共感する部分が多いからかもしれない。periwinklesのアルバムやシングルのジャケットデザイン、MVからは個人的にどこか90年代を感じる。今回はperiwinklesに音楽だけでなくアートワークやファッションについてrihoとikumiが初めて出会ったゆかりの場所である、Live Spot WOODY(※2)にて話を伺った。
※1:periwinkles in Tiny Loft Concert from Bar Hallelujah
※2:Live Shooting vol.5-periwinkles-
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__先ずはバンド結成のきっかけを教えてください。
riho(以下、r)私は群馬にいたことがあって、群馬でもバンドをやっていたんですが、新潟に戻ってきて一人で活動していました。知り合いがいないので、とりあえずライブハウスで声をかけようと思ってやっていたんです。ikumiが最初に見にきたのが、それこそここWOODYで。
ikumi(以下、i)rihoさんが一人でライブやっていた時に見に来てたんです。エレキで弾き語りやっていて、見たことない人がいる、なんかカッコいい、一人でやってるんだと思いました。
r 打ち上げか何かで会って、「バンドやろうよ」ってノリで言ったんですけど、「いやぁー」みたいに言われて、若干断られたかなと思ってたんですけど…。
i 学生時代バイトしていた飲食店で音楽イベントをやることになったんです。店長にブッキングで呼びたい人を呼んでいいよと言われて、rihoさんに声をかけて出てもらったんです。そこで周りからも「rihoさんとバンド組んだらいいのに」って言われて。私もバンド組みたいなと思って、居酒屋に行って、rihoさんに「やりたいです」って言ったんです。そこで「じゃあ、やろうか」みたいになって、二人でバンドを始めることになりました。
__それまではrihoさんはずっとギターをされていたんですか。
r そうですね、一番最初はギターだけでした。途中からですね、ギターとボーカルをやるようになったのは。新潟帰ってきてからは携帯電話でオケを流しながら弾き語りみたいなことをやっていました。
__ikumiさんはいつからドラムをされていたんですか。
i 高校の時に軽音部にいたんです。ギターをやりたかったんですけど、ギターは人気なのでドラムしか残らず、最初は仕方なくドラムを始めたんです。高校の時はずっとほぼドラムをやっていました。
__最初から聴く音楽は二人とも似ていたんですか。
r めちゃめちゃ似てたよね。親同士も音楽聴いてきてたんで。うちはKISSとかちょっとメタルよりで、母親はマドンナとかシンディ・ローパー世代なので、そういう感じの曲を聴いてきていて。
i うちはビートルズとかレッド・ツェッペリン、ディープ・パープルとか。日本だと吉田拓郎とか。お父さんが好きなんです。レコードも大好きで。お互い共通の音楽があったりして。
r 私たちもそれぞれ色々聴いてきたよね。
i 「これ好きなんだねー」とか多かったりします。
__今だとどういう曲を聞いているんですか。
i 今だとジンジャー・ルート。めちゃくちゃ好きで。元々は高校の時とかロックン・ロールとか、ほんと親から影響受けた曲ばかり聴いていました。最近はそうですね、割と軽い感じの曲を聴いています。
r 私は、海外はパンクの流行がきていて、もろパンク聴いています。当時だとアヴリル・ラヴィーンとかSum41とかが流行っていて、またその波がきています。今だとレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)の新譜とか聴いてますね。ちょっと前までは、それこそエレクトロとか聴いてました。音楽に関してはキモオタなんです。毎日聴かないと死ぬくらいの病気なので何かしら聴いています。
__ジャンル関係なく、なんでも聴くんですか。
r 割とそうだと思います。日本の最新の曲とかも全部チェックして、なんとなく流行りは聴いたりとかしていますけど。一番好きなのはアクモン(アークティック・モンキーズ)とかUKが好きです。
__バンドの結成が2019年。ファーストアルバム「21」は2020年にP-VINEからリリースされました。P-VINEは大手の会社ですよね。バンド結成からアルバムリリースまでの期間がとても短いのですが、どういう経緯でP-VINEからリリースされることになったのですか。
r Gimme ShelterっていうDJの先輩たちがいて、その先輩たちの主催するイベントにP-VINEに所属しているアーティストさんが来ていたんです。それこそWOODYでやっていた時です。そこで今も世話をしてくれている担当の人が「もし良かったら」って名刺をくれて。別にその時は何もなかったんだよね。
i 何もなかった。
r その後にファーストシングル“Sun Flower”を自分たちで撮ってYouTubeにあげたのを聴いてくれて「うちで出しませんか」って話がきたんです。私たちはP-VINEという会社も知りませんでした。「それはすごいことなんだよ」って周りから聞いて知った感じです。
__「21」はどういうイメージでアルバムを作られたのですか。
r ジャケット(銀のお皿にのった熟したイチジク、そこに滴る水を捉えた写真)のイメージもそうなんですけれど、ちょっと冷たいけれど、実際くだものの柔らかさもあって。なんかこう、色々ヘイトみたいなものもあるし、ムカつくこととかネガティブな部分もあるけれど、根本は本当に少女というか、女の子の柔らかい部分もある。そういう部分が何となく意識的にある曲が多かったりします。それから、二人のことを歌っている曲も多いですね。“Two Girls”はもろ自分たちのことを歌っている曲です。ikumiはどちらかというと柔らかくてホワンとしている天使みたいなイメージで、私はデビルというか。“Screw Driver”もそうなんですけど、あのカクテルはウォッカとオレンジジュースじゃないですか。ikumiがオレンジジュースで、私がウォッカ、そんなイメージで作った曲なんです。
__いつも曲はどうやって作っているんですか。
r 最初は私が曲を作って持っていくっていうのが多かったのですが、最近はセッションじゃないですけど、「最近はどんなイメージ?」ってikumiに聞きながら合わせてみたりしています。
__2021年7月14日にリリースされたシングル“Feeling Down”と同年8月14日にリリースされたシングル“Lady Madonna”はどのようにして誕生したのですか。
r “Feeling Down”はメロ先行だったよね。
i そうだね。rihoさんが最初曲を作って持ってきたんだよ。スタジオで合わせて、こういう感じでって作っていったんだよね。
r “Feeling Down”は自分の私生活というか自分の素性も入っていて、歌詞そのままかもしれないです。表現できるのが曲だったりするので、歌詞に生活そのままが出ていたりするかもしれないです。“Lady Madonna”はスタジオでできた曲です。
__“Lady Madonna”はイントロのドラムに惹きつけられました。
r もろあのドラムから入ったんじゃなかったっけ。
i そう、最初はドラムから。
r あっ、自分たちの好きな曲があったんだよね。
i あっ、そうだ。こういうのやりたいよねって曲があって、それでちょっと。
r もらった(笑)。
i そう(笑)、それでドラム始まりでいきたいってなって。
__影響を受けた好きなギタリストやドラマーはいますか。
i スネアの音をこの人みたいになりたいと思ったのは、ザ50回転ズっていうバンドのドラマーです。ザ50回転ズがめちゃくちゃ好きなんです。
r 私は意外かもしれませんが、一番最初はめちゃめちゃYUIが好きで、小学生くらいかな、初回限定盤で買うくらいめっちゃ好きで、それでギター始めたんです。いまだにYUIの影響はあるかもしれないですね。アヴリルとかもそこから派生していて。YUIは凄いシャイで柔らかいイメージだけど歌っていることはめちゃくちゃパンクだったりして。そういうのはまだ残っているかもしれませんね。音だけだったらタイ・セガール。めっちゃ好きなんです。FUZZをめっちゃ鳴らして色々やる人。好きですね。
__ツーピースバンドということで、ライブの時はどんなことを工夫していますか。
r 基本二人なので音が薄くならないように、とりあえず音は出してるよね。何かしら微妙な工夫はしているかもしれないですが、あんまり意識したことはないですね。
i 意識したこと、あんまりないですね。
r ライブの時は自分たちが気持ちよくないと嫌だよね。自分たちが気持ちよくないとムカつくよね。
i 二人だからこそ、ね。
r 自分たちが足りない、なんかイマイチだったねっていうライブはしたくないから、自分たちが一番気持ちいいところまでもらうようにリハーサルしているかもしれないですね。
__東京への誘いもあったと思いますが、新潟を拠点にやっていこうと思われたのはなぜですか。
r 生活を基盤に音楽がプラスαである、それが最高がいいよね、というのがスタートだったので、そこが崩れると多分良くない方向に行くだろうというのがお互いの中にあって。
i 仕事もしているし、そこを崩さずに活動していきたいですね、というのがありました。
r 自分が新潟に帰ってきた時も地方バンドの方が注目浴びるんじゃないかという浮ついた気持ちもあったんですけど、でも実際そういう部分もあるのかなって、やっていて思います。
i 新潟にこんなバンドいるんだなと思ってくれたら嬉しい。
r 東京で同じようにやっていたら違ったかもしれないなって思ったりもします。
__アルバムやシングルのジャケットデザインやMVが個人的には90年代の影響を感じます。
r ビジュアルやファッション関係はikumiの意見が多いです。
i 小さい頃からよく見ていたのが父親のレコードでした。昔のレコードのジャケって結構奇抜で、今では扱わないような組み合わせの色だったり、デザインだったりするんです。小さい頃からの影響が今もあり、色々な媒体を見る時にちょっとレトロな感じとか、懐かしい感じとかを好んで見ていて、それがアルバムやシングルのデザイン、MVに反映されているのかなと思います。
r ポパイやトムとジェリーを観て育っているから、ちょっとサイケみたいなのに惹かれたり、アメコミが流行っていたっていうのもあり、そういうものの影響はあるかもしれないですね。
__ジャケットデザインやMVはお二人の意見や要望が反映されたものですか。
i そうですね、要望通りです。
r あと自分たちで作ることが多いですね。
i 結構多い。ジャケットとか。
__「21」はどうですか。
r カメラマンの子が友だちで、その子と3人でどうしようって相談しながら作りました。ハードオフで銀の皿を買おうとなって、くだものを買って、水を入れたらいいんじゃんって感じで作りました。
__本当に?
r・i ほんとそんな感じ(笑)。そういうスタイルが多いです。
i コンクリートに紙敷いてやろう、みたいな。
r DIYを超えた、そういうところがパンクなのかもしれないですね。
__“Lady Madonna”のMVはどうですか。
r “Lady Madonna”は自分たちで撮って、編集も私がしました。“Lady Madonna”は初めて男の人から見た男性目線で作った曲なんです。ちょっとジェンダーレスみたいなイメージが自分たちのバンドのイメージとしてあるんです。MVでは男か女かわからない感じの男の子に出てもらって、歌詞のイメージもそうなんですけど、冷たさみたいなものをイメージして作りました。
__“Lady Madonna”の曲名はどういうところから来たんですか。ビートルズじゃないですよね。
r 曲名にはちょっとそんな連想をさせるところも全部含んでいるかもしれないです。私はラブ・サイケデリコの“Lady Madonna”ですし。みなさんのお好きな“Lady Madonna”をイメージしてください。
__ビジュアル的なもので影響を受けた人やバンド、物などありますか。
i 私は本当にビートルズかなと思います。ビートルズって年代によって本当に変わるじゃないですか。サイケの時代もあったり、最初の頃はロックンロールぽかったり。本当にそれを見て育ったのでビートルズからの影響が一番大きいかなと思います。
__ファッションについてはどうですか。
i 「21」の時の服装は、ちょっとシックな感じにしたくて、rihoさんは実のおばあちゃんのコートを着たりとか、私はピンクのパンツスタイルでジャケット羽織ったりして。色合いとか、シックだけどちょっと私たちらしさを出せたらいいなと思って選びました。
__映画の影響はありますか。
i 映画はrihoさん。
__どういうのを観られるんですか。
r 私は観過ぎなくらい観るんですけど、一番好きなのはジム・ジャームッシュ。音楽系のバンドの映画とか、ライブとか、映画観てこういうの良いなと思ったり。最近だとクルエラの影響が強すぎて。101匹のわんちゃんのに登場するクルエラの実写映画なんです。ハーレークインもそうなんですが、ちょっと強い女、好きです。強い女の人、音楽でいうパンクみたいな、強いけど、強く見せている女の子の弱い部分みたいなのを歌にするのが割と好きかもしれないです。
__未来にかける希望があれば教えてください。
r 4月23日にイベントやるんです。県外から3バンド呼んで。それもやっぱり、新潟の音楽シーンどうなんですか、っていう気持ちもあって。でも、自分たちがこういう音楽が好きだから是非来て、っていう気持ちもあったり。やっぱりコロナで下がってきたところを上げたいね、っていうのはあります。近いところの未来をグッと引き上げたいっていうのはあります。あと新譜も出すんです。今レコーディングを終えて制作期間なんですけど。4月20日にリリースして、4月23日に媒体持っていく予定です。
(※ 取材は2月24日に行われました)
〈写真左上〉
new single『Shadows』
A side:Shadows
B side:Waves
4/20 P-VINEより配信リリース
4/23 アートブックと音源発売開始
〈写真右上〉
Album「21」
〈写真左下〉
single「Feeling Down」
〈写真右下〉
single「Lady Madonna」
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