秋の食べある記。

 9月13日にフランス映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督が亡くなられた。20代の頃、私はゴダールの映画によってフランス・パリへの憧れを募らせていた。フランス人は哲学好きなのか、フランス映画では哲学を語るシーンが度々登場する。ゴダールの映画も然り。ゴダールの映画は20代の私にとっては理解し難いストーリーの作品が多く(いま映画を観返すとストーリー自体はそんなに複雑ではなかった)、話の内容よりも、ファッションやインテリア、フランスの文化についてを映画から吸収していたように思う。今は映画館の売店で映画のポスターを見かけなくなったが、20代の頃はまだ上映作品のポスターが売っていて、ゴダールの映画のポスターはかっこいいものだから、シネ・ウインドでザ・ローリング・ストーンズのレコーディング風景を捉えたドキュメンタリー映画「ONE PLUS ONE」を上映した時にはポスターを買い求め、自室のベッドの向かい側の壁に貼って嬉々としていた。

 ゴダールの作品にはあまり食事をするシーンは出てこない。コーヒーや紅茶、ワインを飲むシーンは割りと多く出てくる。私はパリへは1回しか行ったことがない。たった1回の旅行では食の都パリのグルメは堪能できるはずもなく、フランスではステーク・フリットやブッフ・ブルギニョン、鯛のポワレなどは食べたけれど、あぁ、鴨のコンフィは食べなかったなぁ。。。

 先日delica & liquor conneへ行った時、メニューに鴨のコンフィがあった。私は迷わずに鴨のコンフィを注文した。低温の油でじっくりと煮込まれた鴨肉はとても柔らかく、仕上げにカリッとに焼かれた皮は香ばしい。あぁ、ワインに合う。そうそう、付け合わせのじゃがいもも忘れてはならない。なぜフランスの家庭料理にはじゃがいもが合うのだろう。日本人でいう白米のような役割なのか。いやいや、白米の役割はパンだろう。今度フランスへ行く機会があったらフランス人に聞いてみたい。「フランス人にとってじゃがいもはどんな存在なのですか」

■delica & liquor conneについてはVOLUME 03の「わたしのSmile Food。」かcontentsから記事をご覧いただけます。


 秋になり、気温がぐっと下がると食べたくなるのがドリア。いやいや、ドリアは夏だって冷房の効いた店内でふぅーふぅーしながら食べたくなる。ドリアはグラタンと同じくフランスの家庭料理かと思っていたが、ナポリタンやカレーライスと同じく洋食なのだそう。ドリアの魅力は、あの滑らかなベシャメルソースにとろけるチーズ、そしてライスの三位一体であろう。日本人はやはりライスを欲す。カレーにだってライス。ハンバーガーだってライスバーガーにしてしまう。ベシャメルソースとチーズにライスだから食べていてホッとするのだと思う。

 そんな魅惑的なドリアを先日新しく生まれ変わったGIVE ME CHOCOLATE(以下ギブチョコ)でいただいた。ギブチョコのドリアは手作りのミートソースがたっぷりかかっていて食べ応えがあるが、私はぺろりとたいらげてしまった。ドリア好きな私はギブチョコのレギュラーメニューにドリアが加わったことがとても嬉しい。

 ドリアはロイヤルホストのコスモドリア、サイゼリアのミラノ風ドリアなど、店の看板メニューの一つになっている。ギブチョコのドリアも店の看板メニューになるのではないだろうか。


 今年の夏はやたらとアイスコーヒーばかり飲んでいた。おそらく自分で美味しいホットコーヒーが淹れられるようになり、次は美味しいアイスコーヒーを淹れられるようになりたいと、ほぼ毎日アイスコーヒーを淹れていたからだろう。夏の終わりとともに私のコーヒー熱は落ち着き、美味しい紅茶が飲みたくなってSugar COATを訪れた。

 Sugar COATはいつ訪れても美味しい紅茶をいただくことができる。今回は久しぶりにダージリンをいただいた。水色や香りを楽しみ、口に含むと爽やかなタンニンの渋みの後にほのかな甘みの余韻が広がってくる。大野さんに以前美味しい紅茶の淹れ方を聞いたことがある。大野さんは、普通にゴールデンルールを守って淹れれば美味しい紅茶が淹れられると言うのだけれど、自分で淹れると大野さんの淹れた紅茶ほど美味しくない。Sugar COATの紅茶が美味しいと感じるのは淹れ方だけでなく器も関係していると思う。Sugar COATのカップは水色や香りを楽しめるような飲み口が広くて浅いもの、尚且つ、口当たりが薄く、熱を感じやすいものが選ばれている。だからSugar COATはいつ訪れても熱々の美味しい紅茶がいただけるのだろう。

 やっぱり、今回も紅茶と一緒に頼んだのはお菓子の盛り合わせ。定番のお菓子から季節のお菓子まで、いろいろな種類のお菓子が楽しめる。お菓子の盛り合わせって、お菓子版お子さまランチみたい。あれも食べたい、これも食べたいっていう、人の心理を上手く捉えたドリームプレート。一品一品が軽い口当たりに仕上げられているので一人で完食できちゃうのである。

 Sugar COATは美味しい紅茶にお菓子とともに満ち足りた時間を過ごすことができる場所。だから、いつも店を後にする時に私は思う。また来ます、と。

■Sugar COATについてはVOLUME 02の「わたしのSmile Food。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


 私は車社会の新潟において車も持っていなければ、自転車も持っていない。私の好きなケーキ屋さんの一つにランプリールがある。出来島にあった頃はよくケーキや週末だけ販売するパンを買ったりしていたが、親松に移転してからは、まだ車を運転していた10年くらい前に行ったきり、行けていない。だからランプリールの2号店が西堀にできてとても嬉しかった。今回店を訪れた際にいただいたのは村松産の栗を使用したモンブラン。いつもはフランス産の栗を使用したモンブランを選ぶのだが、季節は秋、栗は今が旬ですからね。和栗のモンブランは栗の風味もよく、品のある美味しさでした。


 先日万代で開催された食花マルシェに行ってきた。予定が詰まっていて、ゆっくりと買い物はできなかったのだが、久しぶりに旬果甘味店ルコトのキッチンカーを見かけたので、枝豆のフォカッチャといちじくのタルトを買ったり、初めての関根農園さんで私の大好きな野菜ルッコラと、初めて見かけた台湾小白菜を買った。マルシェには前回紹介した阿部農園さんも出展されていたが、複数のお客さんがいたので今回は時間がなく断念。阿部農園さんもそうなのだが、関根農園さんはどういう風に作っていて、どうやって食べると美味しいなどと説明してくれる。その表情がまた生き生きとしているのだ。やっぱり、つくり手の顔が見えると、買い手にも、どんな人がどんな思いでつくってきたのかが伝わってくる。だから、買い手もきちんと野菜と向き合って美味しくいただこうと思うのだ。ルッコラも台湾小白菜も、葉は柔らかく、茎はシャキシャキと瑞々しく、また、嫌なえぐみもなく、野菜のもつ苦味や辛みの他に甘みも感じられて美味しかた。さっそく翌朝の朝食にマルシェで買ってきた食材でサンドイッチを作っていただいた。ルコトの枝豆とローズマリーの風味豊かなフォカッチャに、品のある風味のディジョンマスタードを塗り、たっぷりのルッコラとイワシのフライをのせたサンドイッチ。美味しすぎる朝食となったのは言うまでもない。ちなみにフォカッチャに塗ったディジョンマスタードは、J&Y CHEESE SHOPの土田さんから教えていただいたフランスのペルシュロンのデイジョンマスタードである。

■旬果甘味店ルコトについてはVOLUME 05の「つながる、つづく。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。

■J&Y CHEESE SHOPについてはVOLUME 02の「good vibrations」およびcontentsから記事をご覧いただけます。

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