GIN TONIC。

先日、エリック・ロメール監督の「満月の夜」(1987年) を観ました。「満月の夜」は喜劇と格言劇集の第4作目。今作品の格言は『二人の妻をもつ者はこころをなくし、二つの家をもつ者は分別をなくす』だそうです。ロメール作品の中で一番主人公の気持ちがわかる作品と思ってしまいました。80年代ファッションを可愛らしく着こなす主人公ルイーズが、ダンスパーティーで好きな音楽に身をまかせて踊る場面が劇中に何度か登場します。かかっている曲は80年代を象徴するような電子音を用いたポップな曲。ルイーズを見ていたらフランソワ・アルディのアルバム「GIN TONIC」(1980年) が浮かんできました。ファッションはフレンチが好きでも音楽は70年代のアメリカのソウルミュージックが好きだった私は、あまりフレンチミュージックに詳しくはありません。だから数少ない情報の中でフランソワ・アルディの「GIN TONIC」が浮かんできたのです。「GIN TONIC」に収録の”JUKE BOX”は私の好きなスティビー・ワンダーの”YOU HAVEN'T DONE NOTHIN' ”がネタとして使われています。アルバム発売当時はきっとルイーズのように”JUKE BOX”を聴きながらカッコ良く踊っているパリジェンヌが沢山いたことでしょう。

そんな”JUKE BOX”とうって変わって、アルバムタイトル曲の”GIN TONIC”はメランコリックで美しい曲です。フランソワ・アルディはフランス人で、フランスといえばワインだと思うのですが、ワインではなくジントニックにまつわる歌を歌っています。1988年にトム・クルーズ主演の「カクテル」が上映されましたが、80年代はジントニックなどカクテルが最先端だったのでしょうか。それとも洗練された女性版ブルースを歌いたかったのでしょうか。女性の心理をうまく描いた曲です。

20代前半の頃はジントニックをよく飲んでいました。当時、飲みに行くとかっこいい先輩がジントニックを頼んでいて、かっこいい人はジントニックを頼む、というイメージが私の中にありました。ジントニックの味よりも、かっこいいというイメージに惹かれていたようです。現在はこだわりを持った作り手が増えて美味しい蒸留酒が沢山造られるようになり、そんな美味しい蒸留酒を美味しく提供してくれるお店も増えてきました。

先日、半日勤務の仕事を終えて古町のBAR HALLELUJAH(バー ハレルヤ)に立ち寄り、ジントニックとブルックリンスタイルのチリビーンズ(パスタ入り)をテイクアウトしました。私は西区に住んでる為、古町からバスで40分くらいかかります。ジントニックはジンやトニックウォーター、炭酸水、ライム、そして氷まで別々に用意されてあり、また、チリビーンズも乾燥シェルパスタとチーズが別々に用意されてありました。きっと近所に住む方へは作りたてを提供しているのだと思いますが、郊外に住む方にも帰宅後に作りたてを美味しく味わってもらいたいとの気持ちが伝わってきて嬉しかったです。

チリビーンズは今回初めていただいたのですが、ベーコンのコクと旨味が感じられて、とても美味しかったです。パスタ入りなのでかなり満足感もあります。BAR HALLELUJAHでは多くのクラフト ジンを扱っている為、いつも何を頼もうか迷ってしまいます。チリビーンズに合うジンをお願いしたところ、ハーブの爽やかな香りが広がるUNCLE VAL'Sのジンをセレクトしてくれました。

帰宅後、フランソワ・アルディの「GIN TONIC」を聴きながら、チリビーンズとジントニックをいただいた遅めのランチ。うららかな春のように気分も軽やかで、心もお腹も満たされました。


※手前から右回りにBAR HALLELUJAHのBROOKLYN STYLE CHILEとGIN TONIC、冨士屋のバゲット、フランソワ・アルディの「GIN TONIC」。 

※BAR HALLELUJAHは contents の good vibrationsで紹介しています。



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