発酵、発酵グールグル。

 先日、シネ・ウインドで現在上映中の映画「発酵する民」を観てきた。先月観た「ボイリング・ポイント」の前に流す予告で「発酵する民」を知り、発酵食品に興味があったので、予告以外の情報を事前に得ないまま、どんな映画だろうと思って観に行った。きっと、発酵食品についての映画だと思って観に行った者は私ぐらいではないか。しかし、この映画で伝えたかったのは違った。

 この映画では、脱原発パレードでねり歩いていた女性たちが、盆踊り部を結成し、〈地域を緩やかに繋ぎながら、世代や考え方の違いもあっという間に越えていける〉盆踊りを通して、明るく楽しく平和的に脱原発を伝えていこうとする姿を追っている。東日本大震災後、脱原発の気運が高まっていたが、ロシアのウクライナ侵攻により燃料費高騰で原発再稼働へと風向きが変わり、モヤモヤしていた時にこの映画にであった。観に行って良かったと思っている。この映画は決して暗い映画ではない。前向きな気持ちになれる映画だ。何を感じるかは人それぞれ。でも、それで良いのだと思う。それぞれの思いも受け入れて、発酵し続けてくれる映画だと思う。ぜひシネ・ウインドへ足を運んでみてください。上映が本日10月21日(金)までです。


【余談】

 劇中に登場する「寺田本家」では、無農薬の米を使って酒づくりをしている。一般的には酒づくりにおいて、均一の味にするため蔵の立ち入りを制限し、他所の微生物を入れずに酒づくりをするそうなのだが、寺田本家ではいろいろな微生物に触れることにより思いがけない味わいの酒が生まれることから、蔵に新たな菌をもたらしてくれる見学者を歓迎し、自然から生まれる酒づくりを目指しているそうだ。ナチュラルワインではよく一期一会と言われるが、寺田本家の日本酒もナチュラルワインのようなだと思った。あぁ、五人娘が飲んでみたい。

■シネ・ウインドについてはVOLUME 03の「ようこそCinecittàへ。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。

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