おいしいについてのMEMORANDUM。

おいしいがいっぱいのまち。

 新潟市は豊かな自然と広大な農地を有する田園型政令都市です。新潟市郊外では、父もそうですが、定年退職した方たちが家庭菜園に勤しんでいる光景をよく見かけます。親戚でお米づくりをしている人も多いでしょう。私の家もそうですが、1軒だけでなく数軒、親戚が専業または兼業農家だという人もいます。私の家ではお米づくりをしている親戚から1年分まとめてお米を買っています。

 私の父も家庭菜園をしており、自分の家で食べる分だけしか野菜をつくっていないので、虫にかじられ様が、形が歪であろうが、小さかろうがあまり気にしていません(あっ、カブや大根など葉も食べる野菜は一応虫食いには気をつけている様です)。父はスーパーで売っている様な形の良いきれいな野菜を沢山つくるのは難しいと言います。食べて安全、美味しければそれで良いと思っているから、体力的にはきつくなってきているものの、野菜づくりを楽く続けています。肥料は自分でつくった野菜の屑や調理の時にでた屑を堆肥にしたり、時にはお米づくりをしている親戚から稲刈り後に籾を落とした稲をもらい、畑の肥料にしようと試みたり、色々と工夫している様です。

 我が家では傷あり穴あき、形が歪だったり、小さい野菜は、特別なことではなく、日常的によくある当たり前のことです。父がつくる野菜は味が濃いので、甥っ子や姪っ子は父がつくる人参はクセがあると言って食べません。スーパーの人参は食べられるそうなんです。そう言われてみるとピーマンや人参は私も子供の頃はクセがあって苦手で、残すと怒られるため鼻をつまみながら食べていました。

 私はナチュラルワインが好きなのですが、好きな理由はただ単に美味しいからです。ナチュラルワインは一期一会、同じ畑で採れたブドウを使用し、同じ生産者がつくったワインでも、つくった年で出来が違うことがあり、また同じ年でもボトルによって出来が違うこともあると言われており、そういうことを含めて楽しんで飲んでいます。

 ナチュラルワインを嗜む様になってから思うことがあります。ナチュラルワインの様に、野菜だって、くだものだって、それぞれの個性をもっと受け入れても良いのではないか。画一された大きさや形、味じゃなくっても良いのではないか。飲食店の人は野菜やくだものの大きさや形が違ったら見た目やお客同士の公平性などで困ってしまうかもしれませんね。だけど同一均一という価値観を変えて、一品、一皿をつくり出していくことが普通な世の中になったら、もっと環境や廃棄ロス、安全性などの問題を改善していくことができるのではないかと考えます。

 12月10日に、新潟駅のCoCoLo南館内にあるMOYORe:(モヨレ)で開催された「たねをまく ちいさな量り売りマーケット」に行ってきました。その日は自然栽培米の魅力を伝えるイベントが開催され、トークセッションや自然栽培の食べ比べの他、自然栽培米を使った料理やお菓子、自然栽培の野菜や雑穀、味噌などの販売をしていました。どれも色つやが良く美味しそう。父が言う様に、無農薬や自然栽培で野菜やお米をつくるのは難しいと思うのですが、美味しそうなのは見た目だけでなく、調理して食べても滋味豊かでとても美味しかったです。買う時に農家さんが食べ方のアドバイスをしてくださったのですが、「こうやって食べるのが好き」「こうやって食べると美味しいですよ」と語ってくれる表情からも農作物をつくることへの愛情が伝わってきました。また、食べた時の味わいからも丹精込めてつくられているのだなと伝わってきました。父とは違い、みなさん農作物をつくって売ることを生業としてやっているだけあり、農作物が立派。無農薬や自然栽培であっても、できるだけ傷や穴あき、形が歪な野菜などを減らし、調理する人のこと、食べる人のことを考えてつくられています。それって実はとても大変なことで、とても苦労されているのだと思いますが、農家さんは笑顔なのです。努力と苦労の結果が農作物の出来や農家さんの表情に現れているのでしょう。

 私はお米や野菜を店で買う必要があまりないので、この様に時々しか応援はできませんが、良かったこと、美味しかったもの、嬉しかったことなどを情報発信することで他の人に伝播していってくれたら幸いです。

【TOP写真】

「たねをまく ちいさな量り売りマーケット」で購入した品の一部。よへいろんの野菜たちやたなか農園の倍麹みそといも床、おおしま農縁の雑穀、人田畑の玄米麺。(実はrucotoのさつまいもとの米粉蒸しケーキやりんごのタルトも購入したのですが、撮影前に来客があり食べてしまいました。写真には写っていませんが美味しかったです)

mountain△groceryでは3種類の自然栽培米を使ったお米料理を提供。私が購入したのはプリンセスサリーを使用した南インドのレモンライスとトドロキワセを使用したイランのポロというパセリにんにくライス。素材の味を活かすように丁寧に優しく味付けされており、ポロなんかは具材の食感も楽しくて、飽きなく食べ続けられる美味しさでした。yoyo.さんの料理は毎回色づかいにうっとりします。このレモンライスの色の美しさよ。お店で提供するときも、イベントで提供するときでさえも、絵を描く様に盛り付けているyoyo.さん。美しく盛り付けられたプレートを見ることが、食することと同じくらいに私の楽しみでもあります。

 たねをまく ちいさな量り売りマーケットで購入したベビーリーフや青大根をサラダにし、レモンライスにポロと一緒にお皿に盛りつけたのはFocaccia e vino TETTOで購入したパテ、サラダにかけたのはTETTO特製ドレッシング。TETTOのドレッシングは人参たっぷりのドレッシング。ゴマとアンチョビが効いていて、そのままドレッシングだけを冷製スープの様に食したいと思うほど美味しいドレッシングです。ラザニアには角切りのレンコンが入っていて食感も楽しい美味しさです。

■mountain△groceryについてはVOLUME 04の”わたしのSmile Food。”およびcontentsから記事をご覧いただけます。

■Focaccia e vino TETTOについてはVOLUME 04の”わたしのSmile Food。”およびcontentsから記事をご覧いただけます。


おいしい定食。

 先日、かなで食堂が店内での飲食を再開したと聞きつけ、再開後初めてランチに行ってきました。コロナ前とに比べ、小鉢が増えてパワーアップした定食になっていました。こういう定食を待ち望んでいたのです。彩りが美しく、滋味溢れる野菜いっぱいの定食を、新潟で、しかも職場の近くで食べられるとは、なんと幸せなことよ。しかも11時からOPENになったので早いお昼休憩の時にも行くことができます。嬉しい。ちなみに1月に新たに本町で新店がOPENするため、人情横丁のお店は1月までCLOSEするそうですよ。

■かなで食堂についてはVOLUME 04の”わたしのSmile Food。”およびcontentsから記事をご覧いただけます。


おいしいお八つ。

 最近、コーヒーの浅煎り豆を美味しく淹れる研究を続けています。浅煎りの豆は爽やかな果実味が感じられて好きなのですが、私が淹れるとコーヒーの苦味や甘みを消してしまうほどの余計な酸味が出てしまい、ずっと敬遠していました。今はだいぶ美味しく淹れられる様になりましたが、まだ店で飲んだときの味わいには到達していません。コーヒーミルを新調したので、納得のいく味に到達する日もそう遠くはなさそうです(多分)。コーヒーと一緒に頂いたのはスズキ食堂車で買ったドライフルーツのタルトとビスコッティ。スズキ食堂車の焼き菓子は、素朴で香ばしさを感じるものが多く、飽きることなくついつい手が伸びてしまいます。

■スズキ食堂車についてはVOLUME 02の”わたしのSmile Food。”およびcontentsから記事をご覧いただけます。

【プレートの上のコーヒーを入れた器はヒメミズキで購入したものです】

■ヒメミズキについてはVOLUME 02の”MINGEI”およびcontentsから記事をご覧いただけます。


おいしいクリスマス。

 ここ数年話題になっている、イタリアでクリスマスの時期に食べられる伝統菓子「パネットーネ」。パネットーネはミラノの銘菓で、ドライフルーツが入った発酵菓子パン。イタリアにはパネットーネの他に、クリスマスの時期に食べられる卵黄をたっぷり使ったヴェローナの銘菓「パンドーロ」もあります。本場のパネットーネやパンドーロは一つの大きさが1㎏もあるそうです。イタリアの有名店の商品が食べたくてネットでポチりたいけれども、甘いものを食べる人が我が家では私だけなので、さすがに1㎏は大きすぎます。昨年は某パン屋さんでパネットーネとパンドーロのお試しセットが売られていたので、買ってみたのですが、パネットーネはぶどうパン、パンドーロは甘いブリオッシュみたいという印象で、クリスマス感が得られませんでした。そんな中、今年は私の好きなパン屋さんパン・ド・メルソーでパネットーネを販売しているという情報を得て、車のない私はもう何年もメルソーへは行っていなかったのですが、どうしても食べたいという欲求の方が勝り、新潟駅南口からバスに乗り山潟小学校前で下車し、そこからメルソーまで20分ほど歩いてパネットーネを買ってきました。メルソーのパネットーネ、とても美味しかったです。ぶどうパンとは全然違い、ブリオッシュの様なふっくら、しっとりした生地にレーズンとオレンジピールがたっぷり入っており、香りも豊か。特にオレンジピールのフレッシュな苦味が良いアクセントになっており、とても美味しくいただきました。パネットーネと一緒に買ってきたバケットとクロワッサンは安定の美味しさでしたし、初めて買ったスコーンはスペルト小麦を使用していてザクザクした食感と粉の香ばしさやバターの風味が素朴なんですが私好みの美味しさでした。久方ぶりに訪れたメルソーは今でも実直なパンづくりをされていて、嬉しい気持ちになりました。


おいしい染めもの。

 ISANAのなぎささんが元BOOKS f3の跡地で個展を開いたのは、まだニットの上に上着もいらない秋だったと思います。なぎささんの感性が溢れた数々の作品に触れ、「やっぱりなぎささんの作品、好きだな」と思いました。なぎささんの作品を知ったのはISANA FURNITUREの初代カタログです。以前取材をさせて頂いた時に、なぎささんは大胆な構図の手ぬぐいの絵柄からの影響を受けていると仰っていたのですが、私はなぎささんの作品から北欧のテキスタイルの雰囲気を感じます。今でもそう思います。なぎささんの作品は、女性らしい感性とほっこりする様な温かみがあります。原案となるデッサンからは、お子さんが誕生し、子育てをしながらの生活の中で見つけた可愛らしいもの、きれいなものが描き留められており、なぎささんの豊かな感性が垣間見られました。今回の展示では、新潟を感じる白鳥や田んぼ、海、木の葉のモチーフを版染めにした作品が展示されていました。私が選んだのは海の作品。会場に足を踏み入れた時に初めに目に入った作品で、一目見てすぐに気に入りました。本当は3色使いの作品が売り物で、単色使いの作品は売り物ではないと思っていたので、買わずに一回展示場を出ました。再び展示場に戻り、失礼を承知で緑単色の作品が欲しいと伝えたところ、いいですよと仰ってくださり、今我が家にあります。最初は壁に飾っていたのですが、使わないのは勿体無いと思い直し、今は包んだり、カゴにかぶせたりと日常使いにしています。

■ISANAについてはVOLUME 02の”MINGEI”とVOLUME 04の”つながる、つづく。”およびcontentsから記事をご覧いただけます。

【円形のフラワーベースはLUCA VINTAGE MARKETで購入したものです】

■LUCA VINTAGE MARKETについてはVOLUME 05の”My Favorite Things”およびcontentsから記事をご覧いただけます。


おいしい読書タイム。

 市役所前にあった北書店が上大川前に移転OPENしたと知り、先日、アートの鑑賞と読書が趣味のNIIGATA SUBURBIA在住の13歳ボーイと一緒に北書店へ行ってきました。13歳ボーイは北書店を初めて訪れたその日に和田誠や横尾忠則、大竹伸朗関係の本と出合い、すぐに北書店を気に入ったのですが、2回目の訪店後に店が移転のためにCLOSE。とってもがっかりしていました。しかし、早くも上大川前で営業再開したと知り、新店を訪れるのをとても楽しみにしてました。新店は規模が小さくなったけれども、カルチャー好きが喜びそうなセレクトになっており、13歳ボーイは横尾忠則がアートディレクターを務めた時の流行通信や、横尾忠則が表紙をデザインした坂口安吾の本を見つけ嬉々としていました。最終的には坂口安吾の本は現代語ではなかったので読破は難しいと判断し諦めた様です。私は通勤のおともに志村ふくみ「ちよう、はたり」、高峰秀子「旅日記 ヨーロッパ二人三脚」、高橋みどり「おいしい時間」を買いました。そう言えば、北書店にありましたよ、Asako OgawaさんとMAIさんの「東京」が。まだの方もぜひ手にとって欲しい一冊です。私は「東京」から詩人・長田弘の様な、孤独の中から生まれる深い洞察と思考を感じました。そして、東京を思い描きながら読みつつも、情景を新潟に置き換えている自分がいました。私が1年かけて感じたことや考えたことを次回VOLUME 06に向け、本腰を入れて取り組もうと思っています。そこで、しばらくは”今日のハニー”をお休みいたします(あっ、気が向いた時に投稿するかもしれません)。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

■北書店についてはVOLUME 02の”NO NIIGATA LIFE,NO BOOKSTORE”およびcontentsから記事をご覧いただけます。

■Asako Ogawa , MAI「東京」についてはVOLUME 05の”カルチャーあ”およびcontentsから記事をご覧いただけます。

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