久しぶりの投稿。

 毎年冬になる前に、ニュースで今年は暖冬になると言っていても、一度は大雪が降り、暖冬じゃないではないかと思ったりしていたのだが、今年は本当に暖冬のようだ。雪に悩まされなくてホッとしている反面、地球の環境はどうなるのだろうかと心配になってくる。先日、自転車でやすらぎ堤を走っていた時に桜の木が芽吹いているのを発見した。早すぎではないか。翌春はいつ桜が咲くのだろうと素直に喜べなかった。


 10月末にVOLUME 06を発行し終え、まずやりたかったことは”県外に遊びに行くこと”だった。コロナ前までは、東京へ年に2•3回ほど遊びに行っていたが、コロナになってからは東京はおろか県外へ出ることもなかった。先月、4年ぶりに新潟を出て、東京へ遊びに行ってきた。年に2•3回ほど東京へ遊びに行っていた頃は、第一目的以外に行きたいところはさほどなく、ホテルでゆっくり過ごすことが多かった。しかし、今回は行きたいところがありすぎて時間が足りなかった。再開発などで新しくできた商業施設には全く興味がなく、見てまわりたかったのは個人店が点在するエリア。今回の東京の第一目的は私の東京の好きな店、eatripで食事をすることだった。eatripが今月末で神宮前での営業を終了すると知り、数回しか店に行ったことがない私だけれど寂しさを覚えた。喧騒と慌ただしさを忘れさせてくれる緑豊かで温かな空間、そして美味しい料理。神宮前での営業が終了する前に、最後にeatripで食事がしたいと思い新幹線とホテルを押さえた。しかし、予約が苦手な私はeatripへ早く予約を入れなかった為、行きたかった日はすでに予約でいっぱいでeatripで食事をすることは叶わなかった。神宮前も再開発で新しい施設が建つそうだが、私の住む地方から見る東京は、商業施設に入っているテナントはどれも似たり寄ったりで魅力を感じない。再開発で建てられた商業施設は数あれど、すでに飽和状態になっているように思える。明治神宮外苑再開発による樹木伐採についても、先人が100年先を見越して「永遠の杜」になるように照葉木を中心とした365種約12万本の木(そのうち約10万本が献木)を植栽し、約100年経った今、こうして静かに祈りを捧げられる杜となったが、高層ビルが建つことによって静かに祈りを捧げられる杜ではなくなるのではないかと危惧している。東京だけでなく新潟も同じことが言えると思うが、都市開発というのは名ばかりで、育てることで価値を創ることに関心がないのではないだろうか。

 VOLUME 06が完成し、やっと資料集め的な本でなく趣味の本が読めるようになった。先日読了したのは、文 鈴木るみこ、写真 戎康友の「みどりの王国」である。雑誌「ku:nel」に掲載された、イギリスの庭にまつわるエッセイと写真が一冊の本として刊行された。「2008年6月 みどりのゆびを探して。イギリスの庭。」の章に、

 英国には昔からプラントハンターと呼ばれる植物採集家がいて、遠く熱帯地方やアジアの国々に出かけては自国にない植物を探し出し、それを風土に合うよう研究改良して土地に根付かせてきたという歴史がある。意外に思えるが、イギリス本来の土地はとても痩せている。高い山もないから植生分布も単純で、自生している植物の種類はとても少なかったのだ。〔中略〕世界一美しい庭の国と呼ばれるこの国のみどりは、膨大な時間をかけ、人が手で植えてきたものであるということ。

と書いてある。私たちの暮らしは、長く続け育むことで豊かになることがたくさんある。イギリスの「変わらずに変わり続ける」庭に学ぶことは多い。


 VOLUME 06の制作中に封印していたのは趣味の本を読むこととNetflixを観ることだった。VOLUME 06が完成後、Netflixでまず観たのは「Top Boy」である。イギリスのテレビで放送された犯罪ドラマ。ブライアン・イーノがサウンドトラックを手がけ、3・4シーズンはドレイクが共同プロデューサーとして制作に参加。そして3シーズンからはリトル・シムズが出演!最初はこの手の犯罪ドラマは最後まで観られないかもしれないと思ったのだけれど、そんなことはない。イギリスのリアルな社会が丁寧に描かれている上に、音楽だけでなく映像(特にドレイクが制作に携わる前のサマーハウス1•2)がカッコいい。風邪を引いた時や年末年始で家にいる時にしばしば観る「ゴットファーザー」に通じる面白さ。ファミリーを大切しているドラマってやっぱり面白い。主演のひとり、ダシェンがよく行くナンバーワンカフェで頼むのは(確か)ミントティー。そう、イギリスといえば紅茶。

 古町のSugar COATが12月12日で29周年を迎えた。毎年ホリデーシーズンに発売されるアニバーサリー缶は私にとってシュトーレンのような存在。家で甘いお菓子を食べる者が私一人しかいないため、日持ちもして少しずつ楽しめるクッキー缶はとても嬉しい存在だ。クッキー缶の中で私のお気に入りは数字の形をしたジンジャークッキー。パリポリ。。。味だけでなく歯ごたえのある食感も好き。Sugar COATの大野さんが淹れてくれる紅茶は格別。いつだってとても美味しい。いつ店を訪れてもお客で賑わっているが、お一人で全てこなしている。無理せず、ご自愛くださいと毎年アニバーサリー缶のクッキーをいただきながら思っている。

 ミルクティーを入れているボウルは10月28日から30日にAPARTMENTで開催されたパリ在住の「paris11onze」によるフランス アンティーク展で購入したもの。どんな風に使うのかInstagramで写真を投稿してくださいと言われたが、InstagramでなくHPにひっそりと投稿。paris11onzeで購入したカフェオレボウルはかなり大きく、小丼くらいのサイズである。ル・レクチェを入れているカフェオレボウルは長尾智子さんのSOUPsのオリジナルのもので、こちらが一般的なサイズではないかと思う。paris11onzeのアンティーク展で購入したボウルはSOUPsで購入したボウルと大きさは違えどとてもよく似た佇まい。どちらも紅茶やコーヒー、スープだけでなく、アジア料理やサラダなどにも合わせやすい。

 ちなみにル・レクチェは新潟市南区の阿部農園さんのもの。本当はparis11onzeのボウルにル・レクチェ3個カットして盛りつけようと思ったのだけれど、もう少し熟した方が美味しいと思って一つだけに留めた。だからミルクティーを入れているボウルが大きくて、ル・レクチェを入れているボウルが小さいのである。


⬛︎Sugar COATについてはVOLUME 02「わたしのSmile Food。」かcontentsから記事をご覧いただけます。


 11月26日にLIFE で開催された「夜カフェとワインバー」で阿部農園さんのル・レクチェを使ったズコットケーキを堪能。ル・レクチェの高貴な香りと瑞々しく柔らかな食感を生かしてさっぱりと仕上げたクリームとスポンジ。。。それを口に含んだときの口福感たるや。。。

 ズコットケーキを運んで運んできてくれたのは柳さん。ドルチェづくりに関して、柳さんとのちょっとした会話から、柳さんなりのこだわりを持ってつくられているんだなということが伝わってくる。そんな柳さんが今月で退社する。いつも笑顔で明るく接してくれる柳さんが退社するのは寂しいが、次でも頑張って欲しい。あともう1回くらいは柳さんに会いに食べに行きたい。


⬛︎ITALIAN RESTAURANT LIFEについてはVOLUME 03「わたしのSmile Food。」かcontentsで記事をご覧いただけます。

 夜カフェとワインバーでは阿部農園さんの物販もやっており、ル・レクチェや自社栽培の赤ぶどうでつくられたジュース「ジュ・ド・レザン ドルチェ」、自社栽培のこしひかり玄米100%使用してつくられたぽんせんべい「あべボン」を購入。あべぽんは一度食べ出すと止まらず、気づくと完食。写真を撮り忘れてしまった。ジュ・ド・レザン ドルチェはそのままでも甘く熟れたぶどうの美味しさを堪能できるが、健太郎さんお薦めの飲み方である炭酸で割ってお酢を少し加えるレシピで頂いてみた。酢を少し入れるだけで味の輪郭が鮮明になり、美味しかった。

 昨年mitosaya薬草蒸留所が阿部農園のル・レクチェでつくったオー・ド・ヴィを購入した。残りわずだったので年末にお菓子づくりに利用しようと思っていたが閃いた。せっかく阿部農園さんのル・レクチェがあるのだから、フレッシュなル・レクチェとオー・ド・ヴィでカクテルにしてみることにした。すりおろしたルレクチェと炭酸、オードヴィで割ってつくったカクテルは最高に美味しかった。ル・レクチェも兄弟に出会えたと喜んでいるのではなかろうか?

 夜カフェとワインバーで健太郎さんともお話ができた。阿部農園さんは健太郎さんで14代目。農業・農家の暗い面の話をよく耳にするが、健太郎さんはいつも明るい。そして前向きだ。キラキラしすぎて眩しいくらい。そういう人がつくる農作物は嘘がなく、美味しい。だから応援したくなる。

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