ぼくはお酒と雑学が好き

文 Bar Hallelujah ジュンジ

第1回

シティポップ好きなら、やっぱり70sのAORはおさえておかなくちゃね。


 時も国境も超えて昨今大人気のシティポップ。どうやらその源流を辿ると今でもタイムレスで聴かれてる70年代のAORやディスコの初期の音造りに行き着くはず。なんて云ってたシティポップ原理主義者はさっぱりそっちの方の掘り起こしが損なわれてるんじゃないかと嘆く。いろいろなAOR紹介本にも載ってるモノもあるけれど一廻りしてやっぱり王道を聴いて欲しくて。

そのパート1。

 オアフ島に住んでた頃、何度も友人や仕事の同僚を空港まで迎えに出かけることがあって、ある朝カパフル通りのマラサダで有名なお店「レナーズ」の甘い香りを纏ってH1に乗って空港までクルマを走らせると、クラシックロックだけを流してるお気に入りのラジオ局からなんと Ambrosia「How much I feel」が流れてきて。趣味がいいっていうか、まぁ日本のラジオ局ではまず流れることはないなぁ、それも朝から。

 君がどれほどレアなシティポップのレコードを集めていてもAOR(最近海外ではYacht Rockとも云われてる)の四天王のひとりMichael Franksのレコードを持っていないなんて。いやこれからでも遅くないので

『The Art of Tea』(1975)

『Sleeping Gypsy』(1977)

『Burchfield Nines』(1978)

は必聴必携(3枚ともプロデューサーは Tommy Lipuma)。

 息が止まりそうなテンポにボーカルが静かに沈み込む「St. Elmo’s Fire」。メロウとはこの曲のことを云うのだろう。

 ブラジル音楽の深い森に誘ってくれた 「Antonio’s Song」。ジョビンもチェットもマイケルも、男は囁くように唄うものなのだ。

 今はもういないあいつが好きだった「Vivaldi’s Song 」。僕のレコード棚を見て最初にリクエストした曲だった。

 Michael Franksのアルバムのバックを務めるThe Crusadersのもともとの曲にマイケル本人が新たに歌詞をつけてアップデートされた「Chain Reaction 」。

“ Only love makes you free

Get some love in your groove ”

って日本語では気障すぎて唄えない。

 これらの作品にアレンジャーとして参加をしてる Nick DeCaro の傑作『Italian Graffiti』(1974)のカセットテープを僕にくれたのは、僕がお店を始める前にバーで知り合って今でもずっと寄ってくれてるA氏。テープが擦り切れるほど聴いて、レコードも探してカバーされてる元曲も探してそうしてる間にいつのまにかレコードは増えていった。アーバンブルージーソウルとはこのアルバム。

「Under the Jamaican moon」はStephen Bishop / Leah Kunkel(ドラマー Russ Kunkelの奥さんだったCass Elliotの妹)の共作。当時 Carol Kingのバックにも参加してたDavid T Waker のギターが主役。

 Todd Rundgrenの「Wailing Wall」ではBud Shankのフルートが素晴らしい。

 Dan Hicks and His Hot Licks の「Canned Music」。この曲で彼らを知って僕は全アルバムを追うことになる。

 全曲紹介したいけれど噛めば噛むほど噛んでも噛んでもその味は廃れない。1974年、AORのBreaking Dawnだったのかもしれない。

続く。


写真

上左:Michael Franks:『The Art of Tea』,『Sleeping Gypsy』,『Burchfield Nines』

中右:Ambrosia:「How much I feel」

下中:Nick DeCaro:『Italian Graffiti』

上右:Craft Gin & Home Made Tonic water

下左:New Standard Mojito


Bar Hallelujah バー ハレルヤ

新潟市中央区古町通5-598-1 18:00-25:00 日曜日定休(祭日前営業)チャージなし

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