1月のMemorandum。

 新潟市西蒲区にある「新潟 長谷川屋」の新店舗が新潟駅近くに1月11日にオープンしました。3代目の長谷川さんは年に一回開催していたGATA VINの主催者でもあり、新潟にナチュラルワインを広めた第一人者と言っても過言ではありません。私より大分若いのに人としても立派。ちょっとした会話の中から、相手の立場になって考え行動している人なんだなということが伝わってきます。新店舗では新しいお酒が充実しています。オープンにあわせて発売されたコラボ酒は、上越市の「越後薬草蒸溜所」や柏崎市の「阿部酒造」、滋賀県の「ANTELOPE」、佐渡市の「t0ki brewery」が手がけており、どこもつくり手が若く、独自の美味しさを追求している醸造所ばかりです。

 四半世紀前は、大学のサークルや職場など、大人数での飲み会も多く、大概は、お酒を味わいたくて飲むというより、賑やかにワイワイ楽しみたくて飲んで食べていた時代でした。居酒屋に行くと体に悪そうな着色のカクテルやトイレの芳香剤のような匂いのするカクテルが出てくることも少なくなく、ワインといえば渋くて重いものがほとんど。若い頃はそれが当たり前であまり気にも止めていませんでしたが、工場で大量生産され消費される世の中だったのだと思います。

 それに比べて現代のお酒の世界はなんと面白いのでしょう。世界規模で独自の美味しさを追求している小規模のつくり手が増えており、日本にも波及しています。コロナ以降は特に、大人数での宴会よりも、親しい人とおいしいお酒と料理をいただきながら楽しい時間を過ごすことに重きをおくようになったと感じます。わずか25年ですが、私たちのお酒への嗜好が変わったことで、世に出回るお酒も健全なものが増えてきました(私たちの行動次第で世の中が変わるんです)。

 ナチュラルワインやクラフトのお酒などを一時のブームで終わらせないように、できれば商品や生産者のことを知った上で、お酒を楽しむことが浸透していけばいいなと思っています。そういうことをさらりと実践している人が長谷川さん。新潟 長谷川屋は商品を介してつくり手と私たちとを繋いでくれる場でもあります。角打ちもやっているので、店内でいろいろなお酒を飲み比べたりもできますし、家で飲む場合は美味しい飲み方も教えてもらえますよ。

 OPENING PARTYでの一齣。いつも記録的に食べ物や飲み物しか撮影しない私ですが、沢山のお客で盛り上がった店内の様子を写真に収めようと思い立ち、店内の様子を撮ってみました。しかし、長谷川さんは写っておらず。。。中央でマイクを握っている方は長谷川さんではなく、加茂市のAMEYA AISUさん。ホストと裏方に徹していた長谷川さんはどこにも写っていません。今度は酔う前に写真を撮ろうと思います!

 左のお酒は「新潟 長谷川屋」新店舗のオープンを記念してつくられたJumeaux(ジュモー)という名のミード(蜂蜜酒)。滋賀県にあるミーダリー「ANTELOPE」が新潟市南区の「阿部農園」のカリンとル・レクチェを使ってつくったミードです。ル・レクチェとカリンの爽やかな香りとハチミツのコク、甘すぎず、微発砲のため喉越しも良い。食前酒や食後酒にぴったりです。お酒の弱い私でもスルスルいけちゃいます(しかしアルコール度数10%なので飲みすぎ要注意です!)。今回の新潟 長谷川屋とのコラボ企画でミードというお酒を初めて知りました。なんと人類最古のお酒と言われているそうです。

 右のお酒は柏崎市の「阿部酒造」のVEGAという名の日本酒です。オープン記念のコラボ酒ではありませんが、阿部酒造は“発酵を楽しむ”ことを大事に酒づくりをしている酒蔵と知り、気になった一本を選んでみました。新潟の日本酒といえば淡麗辛口ですが、お酒の弱い私には強すぎて、お猪口一杯さえ飲むのがやっと。そんな私でも自然酒は美味しく飲むことができるのです。阿部酒造のVEGAはそんな自然酒のような味わい。VEGAは優しい香りと旨味、爽やかな酸味が、ワインのようにスルスルいけちゃいます(ミードと同様にアルコール度数高めなので飲みすぎ要注意です!)。ナチュラルワインは飲めるけれど日本酒は苦手という方もぜひ飲んでみてください。

 お酒と一緒にいただいたのは佐渡市の「莚CACAO CLUB」と「dAb COFFEE STORE」のコラボチョコ、COFFEE CHOCOLATEです。チョコレートは、コスタリカのカカオ豆とホンジュラスのコーヒー豆をブレンドしてつくられており、粗くグラインドしたコーヒー豆が散りばめられています。口の中でゆっくり溶かしながらチョコレートをいただくと、カカオ豆とコーヒー豆のコクや果実味が広がり、チョコレートをかじるとコーヒー豆の爽やかな果実味が口の中で弾けて楽しいです。前回チョコレートを買った時はコーヒーと合わせましたが、今回は大人の嗜み方としてお酒と一緒にいただいてみました。


 ある日の土曜日。少し遠方の神社へ遅い初詣に出かけ、数軒所用をすませたあと、ユナイテッドシネマへ21時半から始まる映画を観に行く予定を立てていました。用事が片付いた時にはすでに日が沈み、18時を回っていたので、ちょっと軽くワインを飲みながら食事し、酔い冷ましがてら歩いて映画館まで行けばレイトショーでも寝てしまうことはないだろうと考えた訳です。

 足が向かったのは水島町にある「delica&liquor conne」(以下、conne)。美味しいワインと旬の佐渡産寒ぶりをつかったカルパッチョが目当て。conneでは一人で店を訪れた時にハーフサイズで提供してくれるので嬉しい限り。カルパッチョの他に頼んだのは、白子とジャガイモのグラタン。クリーミーでコクのある白子とベシャメルソースに効かせた柚子のさじ加減が絶妙でした。

 店主の健さんは調理中は話をしないのですが、手があくと話しかけてくれます。この日もオープンしたばかりの新潟 長谷川屋の話になりました。同じビルのdAb COFFEE STOREの小林夫妻やROWYARD RECORDSの達也くんもそうですが、同じ界隈の友人知人の店のことをとても気にかけているんです。沼垂テラス界隈や古町界隈でも同じような光景が見られます。人は支えあいながら生きているといいますが、まちも支えあいながら成り立っていると言うことをBLUE BIRDを始めたことで気づくことができました。

 さて、ほろ酔い気分で店を出て、水島町から出来島まで回り道しながら1時間くらい歩いて映画館まで行きました。映画が始まる頃にはすっかり酔いも醒めていたのですが、ゆったりとしたシートに腰をかけた途端、心地よい運動により眠りへ導かれ、途切れ途切れしか映画の記憶がないまま上映が終了してしまいました。映画館を出ると外は雨。それでもこの日は私にとってはPERFECT DAYでした。

※レイトショーで観た映画はPERFECT DAYSではありません。PERFECT DAYSは眠らずに鑑賞しました。良かったです。


delica&liquor conneについてはVOLUME 03の「わたしのSmile Foods。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


 2月2日はフランスではクレープの日だそうです。写真は先月末に古町にあるCrêperie Le Pont Marie(以下、ポンマリ)へ行った時にいただいたエシレバターとブラウンシュガーのクレープ。シンプルなクレープもポンジさんの手にかかると可愛らしくなります。女性らしい心遣いが感じられるお店です。買い物ついでに2月12日に開催されるミモザのリースづくりのワークショップの申し込みをしようとポンマリへ立ち寄って、本を読みながらクレープが焼きあがるのを待つ。帰りかけにポンジさんと世間話をし、何でもない一日でしたが、やっぱりこの日も私にとってはPERFECT DAYでした。


Crêperie Le Pont MarieについてはVOLUME 01の「ニイガタのパリ案内。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。

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