memorandom ’25 如月

 昨年末にBLUE BIRD VOLUME 07を発行しました。紹介させていただいた方たちは、商いをしているので当然利益を出さなければならないのだけれど、自分の好きなことを仕事にしていることを忘れておらず、これからの社会を見据えた活動をしています。店やイベントに足を運んでもらえれば、きっとその人柄の良さも伝わってくるはず。誌面でご覧頂けなかった方はぜひHPから記事をご覧ください。


 さて、今年は新年早々インフルエンザにかかり、いつもならすぐ回復するのに何故か体調不良がずっと続いたため、1月はほとんど出歩かなかった。2月は大寒波到来で、交通の便が悪い日が多く、休みの日は家にいた。そのせいで完全に運動不足である。少し走っただけで息が切れてしまう。重いものを持つと腕が震えてしまう。そんな訳で(?)3月からジョギングを再開しようと誓うのであった。


チョコレート

 毎年ヴァレンタインデーが近づくとソワソワする。新潟にも国内外の美味しいチョコレートが集まるからだ。今年もいつものお店でチョコレートやチョコレートを使ったお菓子をいくつか買った。私の子どもの頃は、ヴァレンタインデーといえば、完全に本命チョコ一筋だった。好きな人を思ってチョコを買い求めたり、手づくりしたり。義理チョコもあったはあったが、とにかく本命チョコ。好きな人に本命チョコを渡すことに皆が夢中だった。ジャン=ポール・エヴァンなど、美味しいチョコレートが海外から入ってくるようになると、本命に渡すだけでなく、自分自身が食べたいという欲求の方が強くなり、いつしか本命チョコの存在が薄くなっていった。本命チョコに命をかけていた頃の熱量が懐かしい。今でも本命チョコに命をかけている子たちはいるのだろうか。ちなみに友チョコの時代もあったようだが、私は友チョコの経験はない。


スズキ食堂車の【ショコラロールケーキ】

 初めて食したスズキ食堂車のショコラロールケーキ。口当たりが軽くしっとりしたカカオ生地になめらかなヨーグルトクリームを一緒に口に運んだ時の幸せたるや。。。生地の美味しさを引き立てるヨーグルトクリームの素晴らしさに気づいた子の刻。

◼︎スズキ食堂車についてはVOLUME 02の「わたしのSmile Food。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


パティスリー ソランジュの【ボンボンショコラ】

 毎年楽しみにしているパティスリー ソランジュのボンボンショコラ。今年も素材の美味しさや口溶けの良さを堪能しながら口福な気持ちになりました。

 ちなみにショコラを盛り付けた器は青人窯のもの。

◼︎パティスリー ソランジュについてはVOLUME 01の「ニイガタのパリ案内。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。

◼︎青人窯についてはVOLUME 07の「My Favorite Things」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


dAb COFFEE STOREの【COFFEE CHOCOLATE】

 昨年に引き続き今年も佐渡のMUSHILO CACAO CLUBdAb COFFEE STORE(以下、dAb)によるコラボチョコを購入。チョコレートの美味しさはもちろんだけれど、パッケージのカッコよさを改めて認識。そしてdAbの日常を写真に収めたYUTO SAKAIくんによるZIENも購入。ZIENを手に取ってページをめくりながら私は、YUTOくんの写真から醸し出される空気感、YUTOくんがいいと思った被写体とその構図が好きだと改めて認識した。

◼︎dAb COFFEE STOREについてはVOLUME 01&06の「COFFEE AND MUSIC」、VOLUME 02の「わたしのSmile Food。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


7inchのレコードボックス

 私がまだ新潟にいた20代前半の頃、今はなきPrahaで音楽に身を委ねて踊る楽しさを教えてもらった。私が好んで行くイベントに集う人たちは、音楽に深い愛があり、心から音楽を楽しんでいた。そのイベントでDJをしていた一人がKIMIさん。現在KIMIさんはSteel製の階段の手すりなど、Steelを使ったものづくりを行う会社を興し活動されていると聞く。

 韓流ドラマを見ているとたまに主人公がクラブへ遊びに行くシーンが登場する。私が好きで通っていたクラブは韓流ドラマに出てくるようなノリノリ、イケイケなクラブではなく、アンダーグランドなクラブ。出会いを求めてクラブに集う人たちよりも、音楽やダンスが好きでクラブに集う人たちのイベントだった。その当時、DJも集う人たちも真剣に新潟の地にクラブミュージックを根付かせようとしていたと記憶する。

 2023年の夏に開催されたフジロックに、20代の頃、私が好きだったDJフランソワ・ケヴォーキアンが出演した。フランソワは一番最後のトリに登場。約15年ぶりにフランソワのDJを体感した。昔と相変わらずフランソワは選曲とDJプレイでフロアにいる人々を魅了し踊らせ続けていた。フランソワの前に回したDJの一人を、私はどうも好きになれなかった。皆がよく知るダンスクラシックをかけてフロアを沸かせていたのに、一番盛り上がるサビの部分で必ずMCを入れてくる。一度だけでなく毎回だ。MCが入るたびにテンションが下がっていった。MCなんていらない、気持ちよく踊らせて欲しいと何度思ったことか。しかし、そんなDJプレイでもフロアは楽しく踊っている人たちで溢れていた。私のような人は古いのか。今のDJやクラブはMC入りでフロアを盛り上げるのが主流なのか。。。

 話は脱線してしまったが、2月にdAbで開催されたレコードフリマでKIMIさんが手がけたSteel製のレコードボックスが売られていた。12inchと7inchの2サイズある。レコードボックスのシンプルで無骨な佇まいが気に入った。レコード棚にまだ余裕があるので12inchは必要ない。7inchのレコードは数枚しかないし、積極的に集めてはいないのでこの先も増える予感はしない。7inchのボックスはマガジンラックに使えるかもと思って購入。Steel製なだけあり、ずしりと重いので大きい本や雑誌を入れても倒れる心配は皆無である。


ギルモア・ガールズの気分に浸りたい。

 韓流ドラマも見飽きてきた頃にはまったのがアメリカのテレビドラマ『ギルモア・ガールズ』。コネチカット州のローカルなまち、スターズホローを舞台にしたコメディドラマだ。音楽や映画好きな娘ローリーと母ローレライのマニアックな会話が楽しい。BLUE BIRD VOLUME 07のメイン特集のタイトルに採用したのはジャズのスタンダードになった「My Favorite Things」という曲名である。そのMy Favorite Thingsをローリー&ローレライは全然ダメと一蹴した。そのシーンを見た時に「え〜、グラント・グリーンのカバー聴いてみてよ、いいんだから!」とぼやいてしまったのは言うまでもない。ローレライの実家で開催される晩餐会で食前酒としてローレライがよく飲んでいたのがマティーニ。私が気になったのは、マティーニよりもマティーニグラス。ソフィア・コッポラの映画にもしばしばマティーニグラスが登場する。アメリカンサイズで大きいのだけれど、マティーニグラスを持った女性はなぜかカッコよく見えるのだ。

 ある日、Bar Hallelujahのドリンクメニューが書かれた黒板を眺めているとコスモポリタンというカクテルに目が止まった。気になって頼んでみたところ、憧れのマティーニグラスで供された。しかも可愛いサーモンピンクの色をしたカクテル。

 店主のジュンジさんと常連のお客さんとの会話もギルモア・ガールズの男性版といった感じで、ギャグあり、時に毒舌ありで楽しい。

 密かに私はギルモア・ガールズの気分に浸っている。

 新たにメニューに加わったムール貝を使ったまかないスープパスタ。ムール貝の出汁いっぱいのスープが美味しい。パスタに添えられたパンをスープに浸しながら食す幸せたるや。

◼︎Bar HallelujahについてはVOLUME 02の「good vibrations」、VOLUME 06&07の「ぼくはお酒と雑学が好き」およびcontetnsから記事をご覧いただけます。


これからのNew Standard 

 新潟にも外国の異文化に触れ、その経験を活かした料理を作っている店が増えてきた。日本人であることを忘れずに、日本の、新潟の食材を用いて異国の味を再現したり、異国の食材を加えて日本料理を創作したりと、今、ひしひしと料理の新しいスタンダードが誕生していると感じている。

 そう思うのは、飲食店だけでなく、自宅の食卓の風景が変わったから。自宅でもハーブやスパイスを用いた料理をつくったり、くだものを料理に使うことがある。昔は酢豚にパイナップルが入ると嫌だとか、メロンに生ハムなんて一緒に食べたくないなんて言っていたけれど、今ではくだものが入った料理は躊躇することがなくなった。くだものをチーズやハーブと合わせるのは普通になったし、スパイスカレーは気分がのった時に家でもつくる。チャイに至っては以前はチャイの素を買ってきて家でつくって飲んでいたけれど、今では自分でスパイスを調合して飲むようになった。

 やっぱり食卓の風景が変わっていくのは外食の影響が大きいと思う。店で食べて美味しかったら家でもつくってみたくなる。かつて日本の食卓にハンバーグやカレーライス、コロッケなど洋食が広まっていったように、これからどんな料理が新たな家庭の定番料理になっていくのか想像するのも楽しい。


mountain△groceryの【ヴィーガントマトクミン麺】

 今年初の大寒波到来の雪が降り始めた頃にmountain△groceryへ行った。店へ着いた時は雪が降り始めたばかりだったから、そんなに積もってはいなかったけれど、綿雪だったので積もる覚悟をした。店に着いたのが14時頃。平日だったこともあり、沼垂テラスには人がほとんどいなかった。yoyo.さんも昼の営業を早く切り上げようとしていたようだったが、どうぞどうぞと中へ入れてくれた。注文したのは初めて食すトマトクミン麺。食材ひとつひとつ美味しく調理されており、それらを一緒に混ぜて食べた時のなんとも言えぬ口福感。yoyo.さんが今度エジプトに行くんだと話していた。もうyoyo.さんは帰国している。エジプトでの経験が料理にどう影響を与えているのか確かめにまた店へ行かなければ。

◼︎mountain△groceryについてはVOLUME 04の「わたしのSmile Food。」およびcontentsから記事をご覧いただけます。


スタンドおだけの【青唐辛子入り和牛メンチ】

 昨年から職場が変わり、以前とは勤務体制がだいぶ変わってしまった。平日休みが多くなり、早番遅番のシフト制。早番の時は残業がなければ16時で上がれる。ある平日休みに、18時から上映の映画を観に行く前に軽く一杯やろうとスタンドおだけ(以下、おだけ)へ行った。15時開店だけれども、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなるので開店と同時に店に入るのは憚れる。友人は気にしすぎだと言うけれど、お酒が弱いのに早い時間帯から一人で飲んでいるのが恥ずかしいのだ。だから16時頃に人が多すぎず少なすぎずで丁度いいだろうと思って店に入った。その日は時折吹雪いていたりと天候も悪かったが、店にはすでに女性グループがいて、私の後にも会社帰りと思われる人たちが次々と入ってきた。適度な賑わいが心地いい。私が最初に頼んだのは、芋焼酎のお湯わり。本当はワインを頼みたかったが、外が寒すぎて、まずは温かい芋焼酎で温まりたかったのだ。おだけは鹿児島の焼酎が充実しているから嬉しい。岡本仁著『ぼくの酒場地図』に一人で酒場に行く時に本を持っていくのは有りか無しかという話が書いてあった。岡本さんは一人で酒場に行く時に本を読むことはない、一人で飲むときの最大の楽しみは手持ち無沙汰だという。私はその手持ち無沙汰に耐えられず、お酒を飲みながらスマホを見ている人の一人だ。本も読まず、スマホも見ないでいると、どんな美味しい料理やお酒を出されてもあっという間に食べて終わってしまい、すぐ店を出てしまう。小津安二郎監督の映画のように、小料理屋のカウンターで、何もせず、じっくりとお酒と肴を味わっている姿は確かにかっこいい。手持ち無沙汰を楽しめる余裕が欲しいものだ。

 おだけはお客さん皆に平等に親切で、美味しいお酒と旬の食材を使った一手間かけた料理が多くて気に入っている。私が好きなのはアジア料理の要素が入った一品。パクチー入りの水餃子や青唐辛子入り牛肉メンチは特に気に入っている。青唐辛子は自分で調理すると、舌が痺れるほど辛いものに当たることがよくあるのだけれど、おだけのメンチは一度も辛い青唐辛子に当たったことがないのでご安心を。ちなみに、上のメンチの写真は一人で飲みに行った時のものではなく、友人と飲みに行った時のものだ。


FENNELの【本日のサンドイッチ】

 古町に新しくオープンしたFENNELへ行ってきた。平日のみ7時半から16時までの営業の為、多くの人たちは仕事などの関係で訪れることは難しいと思うが、私は幸運にも職場からも近く、平日休みもあるので割と早く訪れることができた。初めて訪れた時に本日のサンドイッチを注文した。オープンサンドもあったけれど、サンドイッチの具にビーツを使用と書いてあったので、珍しさに惹かれて本日のサンドイッチにした。本日のサンドイッチはホットサンドプレスでパンをこんがり焼いて熱々のうちに提供してくれる。パンのクラスト具合といい、具は熱々でビーツの火の通り具合も好み。本日のサンドイッチが気に入ったので、また店を訪れた。2回目の訪問で本日のサンドイッチは3種類の具から選べると知る。前回とは違い、ハム&チーズのサンドイッチを注文したかったがハムがなくなってしまったという。残念と思った瞬間、「ハムの代わりに挽肉でよければおつくりできますよ」いってくれた。嬉しい。もちろん挽肉&チーズでお願いした。仕事の日にランチで利用する時は休憩時間が限られているので時間を気にするあまり落ち着かないことが多いが、FENNELは美味しく程よい量でサクッと食べられ、食後にゆっくりコーヒーを飲みながら読書する余裕があるのが嬉しい。

 FENNELは元アパートメントのスタッフだったこゆきさんが店主なだけあり、インテリアにカトラリー、料理、全てがお洒落。こゆきさんはオーストラリアのカフェで働いていたと聞く。今度は平日休みの時にゆっくりとオープンサンドやデザートも頼んで、オーストラリアの空気感を感じてみたいと思う。


自家製麺 焼きそば 大野

 本町の人情横丁に新しくオープンした自家製麺 焼きそば 大野(以下、大野)へ行ってきた。店に入ってまず目を引いたのは赤いL字型のカウンター、そしてBGMは80年代アイドルの歌謡曲。小学生の頃に慣れ親しんだアイドルの曲が次々に流れてくる。昭和の時代を今風に解釈してつくられたであろう店づくり。令和の時代に昭和というのは新鮮で、どこか異国にいるような感じがした。私が注文したのは黒焼きそば(並)と水餃子。友人から赤星を少し貰って食す。焼きそばを外で食べることは滅多になく、花火を見に行った時に屋台で買って食べたことくらいしかない。焼きそばを食べるとしたら、スーパーでマルちゃん焼きそばを買ってきて家で調理して食べる。大野の焼きそばはいつも食べている焼きそばとは違い、太麺でコシがあり、甘塩っぱい黒ソース。コクのある焼きそばを紅生姜が引き立てる。大阪の人はお好み焼きをおかずにご飯を食べると聞く。今まで炭水化物に炭水化物?と思っていたが、大野の焼きそばを食べながら、焼きそばにご飯、いけるかもと思った。水餃子はお品書きを見ると3個、5個、7個と奇数で書いてある。3個を友人と分け合って食べようと注文したところ、「4個にできますよ」と言ってくれた。ちょっとした配慮が嬉しい。水餃子はプリップリで美味しかった。私たちの隣に座っていた若い男の子たちが会計の時に、食べた食器をカウンターの台に載せ、テーブルに置いてあったダスターでテーブルを拭いてから店を出て行った。店内が狭いため、混んでいると店の人が厨房から客席へ移動するのが容易でないと察しての行動なのだろう。人情横丁に店があるだけあって人情を感じた。もちろん私たちも彼らに倣って店を出た。

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