わたしの伯母さん。(by 伊丹十三子)

新型コロナウイルスによって東京や近県では不要な外出の自粛要請が出されましたが、日本だけでなく世界のニュースを見ていると、新潟にいても外出を自粛してしまいます。大勢が働く職場にいる為、一人が感染すると職場が業務停止になってしまうという危機感があります。しかし、こんな時でも普段と変わらずお店は開いています。やっぱり好きなお店には顔を出したいという思いがあります。長居はしないけれど、サクッと寄って帰る。ただそれだけのことをしています。

お店に立ち寄ると、アルコールスプレーが用意されていたり、体調に合わせてマスクをつけられていたりと、お客さま以上にお店の方がコロナウイルスのことを気にかけてくださっていると感じます。コロナウイルスの感染が広まっていく中で、このまま普段通りの生活を送れるようにするには、お店側だけでなく、お客さま側にも体調が悪い時は外出しない、止むを得ず外出する時はマスクを着用する、お店で用意されたアルコールスプレーがあれば利用する、アルコールスプレーがなければ手洗いを行うなど、自らを守ることだけでなく、周りにも気を配ることが大切だなと感じています。

今までは「このお店ではこれ」みたいに、いつも頼むものが決まっていた保守的な私ですが、フリーペーパーを作るようになって、以前よりも新しいものを試してみたくなったり、新しいお店を開拓してみたくなったりと意識が変わってきました。自分の行動が変わると見えてくるものも変わりますね。おかげで、数年前とは比べものにならないくらい、今が面白いと感じています。

先日、dAb COFFEE STOREで開催されていたRe Ri BagelのToshinori MutoさんのDrawing exhibition「A CD SHOP」を見に行って来ました。私の好きだったNuyorican SoulやMANUEL GOTTSCHING、NAS、D'AngeloなどのアルバムジャケットがHIP HOP版ジャン・フィリップ・デロームのような味わいのあるタッチで描かれていました。本職がベーグル職人なのに凄いです。Re Ri bagelさんのベーグルは本町の人情横丁にお店があった時に買いに行っていました。だいぶ昔ですね。いつも買いに行くと残り2・3個だった記憶があります。今は五泉市にお店をかまえていらっしゃり、時どきイベントなどで新潟市内に出店されていますが、なかなか買える機会がありません。今回、何年かぶりにRe Ri Bagelさんのベーグルをいただきました。ベーグルには、ピアット・ジョルニさんのスモークチキンと葉野菜だけがサンドされており、味付けはバルサミコ酢のみ。シンプルですが、もの足りさはなく、素材の美味しさを感じる優しい味わいのベーグルサンドでした。実はピアット・ジョルニさんは知らないお店でした。車社会と言われている新潟で、車のない生活をしている私は、本当に行動範囲が狭いと痛感しています。いろいろな方に美味しいお店を教えてもらいますが、行ったことのないお店が多いです。やっぱり飲食店の方たちは本当に食べ物が好きで、興味があるんですね。美味しいお店をよく知っているなと感心します。

最近はコロナウイルスのこともあり、家で過ごす時間が長くなりました。先日購入したTARO KOYAMAさんの写真を部屋に飾ったら、部屋の雰囲気が変わりました。少しマニッシュな雰囲気になったのです。これを機にインテリアも変えたいと思い、いろいろなお店を見て回りました。部屋のイメージを固めて、雑誌やネットで色々調べた上で、あるお店へ行きました(まだ最終決定ができていないので店名は伏せておきますね)。欲しいものについて相談したところ、それは現行品にはないもの、レプリカはあるけれど正規品ではない、現行品とオリジナルは規格が違うから使用できないなど、雑誌やネットでは得られなかった情報を教えてくれました。本職の人は本当に知識が豊富です。私がマニアでもなく普通の人だからかもしれませんが、感心してしまいました。今の時代、ネットで簡単にモノが買えますが、良いモノの見分け方がわからない私のような者には、やはりお店で実際に見て触れて、正しい情報をもらって買うのが一番だと思いました。今回私にアドバイスをくださったお店は、世の中の流れが変わっても、時代の波に乗りつつもブレずにずっと扱い続けている商品があります。かつて世界的に有名な作家がデザインした商品が巷に溢れたことがありましたが、今、その商品を新潟で探しても見つかりません。なぜでしょうか。流行らなくなったから扱うのをやめたなんて思いたくありません。

素敵な人というのは自分の”好き”を知っている人だと思います。お店も人と同じで、私が素敵だな、いいなと思うお店は店主の”好き”なものや”こだわり”が感じられるお店です。その”好き”や”こだわり”が長く続いている人やお店は、とってもかっこいいなと思ってしまいます。

チャールズ・イームズは

「情報の時代が終わったら、次は選択の時代だ」

とおっしゃったそうです。

先日発売されたスタイリストの岡尾美代子さんの新刊「センスのABC」に

「センスとは五感の一つ(味覚・聴覚・視覚・触覚・嗅覚)、そして物事の感じ方、、考え方。辞書を開くとそんな風に書かれている。」

「誰もが認めるセンスの良さを目指さなくても、自分のためにセンスを鍛えることが大切。そのトレーニングとしては五感を研ぎ澄ますこと。自分の周りで起きたことや周りにあるもの、それをきちんと見て、きちんと感じて、きちんと考えたことを自分に蓄積する。」

と記載されてありました(一部文章を省略してあります)。

フリーペーパー「BLUE BIRD」は若者にこそ読んでもらいたい冊子です。多分、流行りや有名なものにしか興味のない人には、この「今日のハニー」に辿り着けないでしょう(辿り着いてくれた方は、ありがとう!)。今後は車がないを言い訳にせず、狭い行動範囲を拡大しつつ、次の号につなげて行きたいと思っています。


【おまけ】

今回の「今日のハニー」は伊丹十三さんの「ぼくの伯父さん」の女版のように、少し説教くさくなってしまったかもしれません。

説教くさくなってしまったついでにもう一つ。岡尾美代子さんの新刊「センスのABC」にLONDON BOROUGH OF JAMのリリーさんとの対談が掲載されていました。その中で印象に残ったのが、リリーさんが日本のフルーツについて「旬じゃない季節に店頭に並んでいる」、「その値段が高い」ことに驚き、日本のフルーツの「甘さ(甘く品種改良されたフルーツが多いこと)」も気になっていたということです。

いつも当たり前に思っていたことが、本当は違っていたと気づかされた言葉でした。

ちなみに上の写真に写っているびんは、LONDON BOROUGH OF JAMのジャムのびんです。びんに生けた花は、庭で咲いていた椿とミニ水仙。五島の椿プロジェクトで吉永小百合さんが着ていた優しく淡いピンク色の着物は、志村ふくみさんと洋子さんが椿の枝と幹で染めて製作した「椿の詩」。「椿の詩」を見た時に、その美しさに驚きました。ちょうど我が家の庭に咲いていた椿も「椿の詩」のような優しいピンク色をしています。単なる嬉しさ自慢の写真でした。

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