ハマっ子は海が好き。

私はハマっ子です。横浜生まれのハマっ子ではなくて、海のそばで育ったハマっ子です。

子供の頃から海はみじかにありました。自宅の裏が海だったからです。

まだ子供の頃は、砂浜の浸食も少なくて、広い砂浜がずっと海沿いに延びていました。

小学生の頃は、夏になるとよく自宅裏の海へ泳ぎに行っていました。近所の人しか知らない海岸への抜け道があって、草がぼうぼうの松林を抜けると白い砂浜がパッと現れる。その瞬間に子供たちは我先にと走り出します。

小学生の時に兄と妹と父の四人で海へテントを持って行き、泊りがけのキャンプをしました。母は家でお留守番です。夕ご飯は白飯だけ炊いて、王貞治さんがCMしていたレトルトのボンカレーをかけていただくだけの男飯。今の時代のような本格的なキャンプではありませんでした。それでも、焚き火のそばで海や夜空を眺めながら食べるカレーライスはすごく美味しくて、楽しかった気持ちは今も残っています。

社会人になり、まだバブルの名残がある時代。当時務めていた会社の社員旅行が毎年ハワイでした。

子供の頃、あんなに海が好きで、真っ黒に日に焼けるくらい海で泳いでいた私ですが、社会人になると海で泳ぐこともしなくなりました。海で遊ぶよりもショッピングや美味しいものを食べ歩くことの方が楽しかったようです。毎年ハワイだと、行きたいところもだんだん定まってきて、時間をもてあそぶようになってきました。そこで、海で遊びなれていない私たちですが、サーフィンで有名なノースショアへ行ってみようということになりました。その日は、あいにくの曇り空。ビーチに着くと水着になり、タオルを敷いて、曇り空のように静かに、泳ぐこともせず、時どきふざけたことを言いながら、ただただ空と海を眺めなら寝そべっていました。サーファーの方にはノースショアまで来て何やってるんだと言われそうですが、何もしなくても、とっても気持ちが良かったんですよね。

この2つの海の記憶は、鮮やかな色合いの海辺の景色ではなく、ニューカラーと言われる写真のような、少し柔らかい色合いの海辺の景色で記憶に残っています。

先日、dAb COFFEE STOREへ行った時にTARO KOYAMAさんの写真展「REWRITING MEMORY」が開催されていました。そこで出会ったのが、遠くまで続く白いビーチの様子を静かに捉えた写真です。見た瞬間に好きだなと思いました。”サウダージ”。私にとって、どこかそんな言葉がしっくりくるような風景だと思ったのです。

TAROさんは今回が初めての個展だそうです。小規模の展示でしたが、作品1つ1つにこだわりを感じました。プリントが変わっていて、紙ではなく木のパネルにプリントしているのです。そのためか作品が絵画のようにも見えます。写真の周りのシートも紙ではなく木を使用しています。木のシートを白くペイントすることによって、白い紙のシートを使うよりも暖かみが増したように感じます。フレームを手がけたのはフレームビルダーのTHROW INだそうです。好きな写真に出会ったことだけでなく、表現が合っているかわかりませんが、作品作りに対してオルタナティヴな精神を感じたことが何よりも嬉しかったです。


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